<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 夢李白二首 一>
<Format: 五言古詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 李白を夢む　其の一>
<BookPage: 291>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
死別已吞聲，
生別常惻惻。
江南瘴癘地，
逐客無消息。
故人入我夢，
明我長相憶。
恐非平生魂，
路遠不可測。
魂來楓葉青，
魂返關塞黑。
君今在羅網，
何以有羽翼。
落月滿屋梁，
猶疑照顏色。
水深波浪闊，
無使蛟龍得。
<End Poem>
<Translation>
死別というものは、もはやどうすることもできないもので、声を押し殺して泣くばかりであるが、あなたとの生き別れはそれにも増していつまでも心の悲しみが絶えはてることがない。

あなたの囚われている江南の地方は、熱悪疫の気に満ちた風土とされるが、放逐された流され人であるあなたからは、何のたよりもない。ところが、その忘れ得ざる旧友が、わたしの夢に現れたのだ。それこそわたしがあなたを長く思い続けて来た友情を証拠だてるものだ。

しかし、その姿はどうも、昔のままのあなたの魂を持つものではなかったようだ。けれども遠く道をへだてているので、事実を推制することができない。あなたの魂の現れてきた時、あなたのいる江南の地のからかえでの樹林は青々としており、今、あなたの魂の帰り去る時、ここ秦州という辺境の町は黒々としている。

あなたは今、罪人として囚われの身であるのに、どうしてつばさを得て、ここに現れたのか。あなたの去った後傾いた夜ふけの月光が、わたしのいる家屋ののあたりを、いちめんに照らし出しているが、夢がさめた後もなお、あなたの顔の表情を照らし出しているかと思われる。あなたのいる江南の地は水が深く、波浪の広く果てしないところであるから、わが身をみずちに捕らえさせることなどないようにどうか、くれぐれも気をつけてください。
<End Translation>